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子どもの歯が乳歯から永久歯へ生え替わる時期は、保護者の方にとってとても気になる時期です。
周りの子は前歯がどんどん生え替わっているのに、自分の子だけなかなか抜けない。乳歯は抜けたのに、その後の永久歯が見えてこない。片方だけ生えてきて、反対側が遅い。
そんな様子を見ると、「このまま待っていて大丈夫なのかな」と不安になるのは自然なことです。
実際、永久歯が生えてくる時期にはある程度の個人差があります。少し遅いからといって、すぐに異常とは限りません。
生え替わりの始まりや進み方には幅があり、体の成長の速さや家族の傾向が関係することもあります。小児歯科の考え方でも、歯の生え方は一人ひとり異なり、成長の流れの中で判断することが大切だとされています。
ただし、「少し遅いだけ」と「早めに確認した方がよい遅れ」は、分けて考える必要があります。
永久歯の遅れの中には、乳歯が邪魔をしているだけのこともあれば、歯が生える場所が足りない、余分な歯が進路をふさいでいる、歯の向きがずれている、もともと永久歯が作られていないなど、原因がはっきりしている場合もあります。
こうしたケースでは、長く様子を見すぎることで歯並びやかみ合わせに影響することがあります。アメリカ小児歯科学会でも、成長途中の歯の生え方や並び方の異常を早めに見つけ、必要な時期に対応することの大切さが示されています。
この記事では、永久歯がなかなか生えてこないときに、保護者の方がどこを見ればよいのか、どんな場合に歯科医院で確認した方がよいのかを、できるだけわかりやすくまとめます。
永久歯への生え替わりは、一般的には6歳ごろから始まります。
最初に目立ちやすいのは、下の前歯と、乳歯のさらに奥から出てくる最初の大きな奥歯です。いわゆる「6歳臼歯」と呼ばれる歯で、乳歯が抜けるのを待たずに後ろから生えてきます。
その後、前歯、横の歯、犬歯、奥の歯へと少しずつ進み、親知らずを除く多くの永久歯は12歳前後までにそろっていくのが一般的です。歯の種類によって生える時期には幅があり、上下でも少し差があります。
ここで大切なのは、「年齢だけ」で判断しすぎないことです。
たとえば、同じ7歳でも、もう前歯が何本も永久歯に生え替わっている子もいれば、ようやく最初の1本が動き始めた子もいます。家族の中で「みんな歯の生え替わりが遅かった」という場合には、その子もゆっくり進むことがあります。
つまり、少し遅いこと自体は、すぐ異常とは言えません。
しかし、明らかに片方だけ遅い、抜けた後かなり長く変化がない、乳歯がずっと残っている、歯ぐきが膨らんでくる様子もない。このようなときは、年齢の幅だけでは説明できないことがあります。
永久歯の遅れで、まず見てほしいのが左右差です。
たとえば、右の前歯はもうかなり伸びているのに、左の同じ歯はまだ見えない。片方の奥歯だけ生えてこない。こうした左右差は、よくある個人差の範囲を超えていることがあります。
とくに前歯では、この左右差がとても大切です。
イギリスの歯並び管理の資料でも、永久歯の前歯の遅れや、左右差がある場合は注意が必要で、専門的な確認を勧める内容が示されています。背景には、余分な歯がじゃましている、向きがずれている、乳歯が抜けにくくなっている、もともと永久歯がないなど、いくつかの原因が隠れていることがあります。
保護者の方が家で見たときに、「片方は生えているのにもう片方が全然出てこない」「左右で高さがかなり違う」と感じたら、それは受診を考える一つの目安になります。
歯の生え方は完全に左右同時である必要はありません。ただ、見てすぐ分かるほど差がある場合には、一度確認した方が安心です。
永久歯は通常、下から近づいてくることで乳歯の根が少しずつ短くなり、乳歯がぐらついて抜けます。
ところが、乳歯がなかなかぐらつかない、抜ける気配がない、抜けるべき時期を過ぎても強く残っている場合には、永久歯の位置や向きに問題があることがあります。
たとえば、永久歯が正しい位置ではなく内側や外側にずれて進んでいると、乳歯の根がうまく短くならず、乳歯だけ長く残ることがあります。また、乳歯が骨のようにしっかり固定された状態になって残ることもあり、これが生え替わりを遅らせる原因になることがあります。
最近の総説でも、乳歯の残りすぎは永久歯の遅れや進路の乱れと関係しうると整理されています。
よくあるのが、「乳歯の内側から永久歯が出てきて二重になっている」状態です。
下の前歯で起こりやすく、必ずしも大きな異常とは限りません。ただ、乳歯が抜けずに長く残ると、永久歯の位置がずれたままになりやすくなります。
「しばらく待てば自然に並ぶこともある」と聞くこともありますが、実際には歯並びの余裕や歯の向きによって判断が変わるため、自己判断だけで放置しない方がよい場合があります。
永久歯が遅れる原因として少なくないのが、歯が並ぶ場所の不足です。
あごの大きさに対して歯が大きい場合や、乳歯を早く失って隣の歯が倒れ込んできた場合、永久歯が出てくるためのスペースが足りなくなります。すると、歯はまっすぐ出にくくなり、歯ぐきの中で止まったり、変な方向へずれて生えてきたりします。
アメリカ小児歯科学会では、乳歯の早期喪失が歯列の長さの不足につながり、将来の歯並びの問題を増やすことがあるため、必要に応じてその場所を守ることが重要だとしています。
ここで見落とされやすいのが、むし歯やけがで乳歯を早く失ったあとです。
「悪い乳歯がなくなったから安心」と思っていても、その後に隣の歯が動いてきて、永久歯の通り道が狭くなってしまうことがあります。そうすると、本来なら自然に出てきたはずの永久歯が、なかなか見えてこないということが起こります。
永久歯の遅れを見るときは、「その歯がまだ出ていない」という一点だけでなく、その歯が出てくるための場所が残っているかまで見る必要があります。これが歯科医院で確認する意味の一つです。
上の前歯がなかなか出てこないとき、見た目では分からない原因として代表的なのが余分な歯です。
本来はないはずの小さな歯が、前歯の近くにできることがあります。この余分な歯が、下から上がってくる永久歯の進路をふさいでしまうと、永久歯が出てくるのが遅れたり、向きがずれたりします。
アメリカ小児歯科学会の資料でも、余分な歯は永久歯の生える遅れ、位置のずれ、隣の歯への悪影響などにつながることがあり、早期に見つけることが大切だとされています。必要な時期に取り除くことで、正常な永久歯が自然に生えてくる可能性が高まることも示されています。
こうした問題は、口の中を見ただけでは分からないことが多いです。
表からは何も見えなくても、歯ぐきや骨の中で余分な歯が邪魔をしていることがあります。
前歯が一本だけ極端に遅い。真ん中にすき間が大きく残る。左右の高さがそろわない。このような場合は、こうした原因も考える必要があります。
小さいころに前歯をぶつけた経験は、永久歯の遅れと関係することがあります。
乳歯の時期のけがは、そのときだけの問題で終わるとは限りません。乳歯のすぐ下には、これから生えてくる永久歯のもとが近くにあるため、強い衝撃があとから影響することがあります。
日本小児歯科学会でも、乳歯の外傷の程度や受けた時期によっては、あとから生える永久歯の位置や形に影響が出ることがあるため、成長に合わせて確認が必要になると案内しています。外傷に関する国際的な指針や関連文献でも、乳歯のけがが永久歯の変色、形の変化、位置のずれ、遅い萌出につながることが知られています。
保護者の方が忘れてしまっていることも少なくありません。
「昔転んで口を打った」「前歯の色が変わったことがある」「乳歯が少しめり込んだように見えた」このような経験があれば、受診時に伝えることが大切です。今の歯の遅れとのつながりが、そこで見えてくることがあります。
永久歯が遅い原因の中には、もともとその永久歯が作られていないケースもあります。
これは決して極端に珍しいことではなく、特定の歯でみられやすいことが知られています。乳歯が長く残ることで気づかれることも多く、永久歯が出てこないまま年齢だけが進んでいくことで発見されることもあります。
アメリカ小児歯科学会でも、生まれつき永久歯が足りないケースは成長途中の歯並びに大きく関わるため、早めの把握が重要だとされています。
この場合、大事なのは「遅いから待つ」だけではなく、本当にその永久歯があるのかを確認することです。
永久歯があれば時期を見ながら待てることもあります。しかし、そもそも無い場合は、今後の歯並びやかみ合わせをどう考えるかが必要になります。
早く分かれば、その後の見通しを立てやすくなります。
永久歯の遅れを見るときは、一本だけの問題なのか、全体的にゆっくりなのかも大切です。
一本だけ明らかに遅い場合は、その歯のまわりに原因があることが多いです。一方で、全体の生え替わりがゆっくりな場合には、体質や家族の傾向が関係していることもあります。
歯の生え方の遅れは、全身の成長や体の状態と関連して見られる場合もあることが、医科・歯科の資料で示されています。たとえば、成長が全体にゆっくりな子どもでは歯の萌出にも遅れが出やすいことや、一部の全身状態で遅れがみられることがあります。
もちろん、歯が少し遅いだけで病気を疑う必要はありません。
ただ、身長の伸び方や体の発達でも気になる点がある。乳歯の時期からかなり遅かった。兄弟姉妹と比べてもかなり差がある。このような場合には、歯だけでなく全体の成長の中で見ることも大切です。
永久歯が遅いかも、と感じたときに家庭で確認しやすいポイントは次のようなものです。
まず、抜けたのに次の歯が見えてこない期間が長いこと。次に、左右差が大きいこと。そして、乳歯がぐらつかず長く残っていること。さらに、歯ぐきのふくらみが見えない、触れても出てきそうな感じがないこと。加えて、内側や外側から二重に生えてきていること、小さいころにぶつけた記憶があることも大切です。
仕上げみがきのときや、口を開けて話しているときに少し意識して見るだけでも、変化に気づきやすくなります。
また、スマートフォンで月に1回ほど写真を撮っておくと、「動いているのか、止まっているのか」が分かりやすくなります。
毎日見ていると変化に気づきにくいものですが、記録があると受診時にも説明しやすくなります。
歯科医院では、まず口の中を見て、乳歯の残り方、永久歯が出てきそうなふくらみ、左右差、並ぶ場所の余裕などを確認します。
必要があればレントゲンを使って、永久歯があるかどうか、どの向きにあるか、余分な歯やじゃましているものがないか、根の育ち具合はどうかを調べます。成長途中の歯の異常は、見た目だけでは分からないことが多いため、画像を含めた確認が重要です。
対応は原因によって異なります。
そのまま経過をみてよいこともあります。残っている乳歯を抜いた方がよい場合もあります。場所が足りないなら、その場所を守るための考え方が必要になることがあります。余分な歯が原因なら、その処置を考えることもあります。
つまり、永久歯が遅いときは「すぐ大きな治療」ではなく、まず原因を見極めることが大切なのです。
保護者の方の中には、「まだ子どもだし、もう少し待ってからでいいかな」と思われる方も多いです。
もちろん、本当に待ってよいケースもあります。
ただ、早めに相談する意味は、すぐ治療するためではなく、待ってよい遅れなのか、待ちすぎない方がよい遅れなのかを分けるためにあります。
歯の生え替わりは、あとから取り返しにくい部分もあります。ある時期に少しだけ手をかければ済んだことが、長く放置したために歯並び全体に影響してしまうこともあります。
反対に、診てもらった結果「問題なく、様子見で大丈夫です」と分かれば、その安心感はとても大きいものです。
永久歯はこの先長く使っていく大切な歯です。だからこそ、「痛がっていないから大丈夫」ではなく、生え方そのものを見てあげることが大切です。
永久歯がなかなか生えてこないとき、まず知っておいていただきたいのは、少しの遅れなら個人差の範囲もあるということです。
しかし、左右差が大きい。乳歯が長く残っている。抜けたあとかなり待っても出てこない。過去に前歯をぶつけたことがある。歯が並ぶ場所が足りなさそう。このような場合には、早めの確認が大切です。
永久歯の遅れは、ただ遅いだけのこともあれば、歯の向き、場所不足、余分な歯、乳歯の残り方、生まれつきの本数の違いなどが関係していることもあります。
見た目だけで判断できないことも多いため、気になるときは歯科医院で確認することが安心につながります。
お子さんの歯の生え替わりは、将来の歯並びやかみやすさにも関わる大切な時期です。
「うちの子は大丈夫かな」と感じたときこそ、早めのチェックが役立ちます。迷ったまま長く不安を抱えるより、今の状態を正しく知ることが、これからの安心につながります。
Q1. 永久歯は何歳ごろから生え始めますか?
A. 一般的には6歳ごろから始まります。下の前歯や、乳歯のさらに奥に出てくる最初の奥歯が早めに見えやすいです。
Q2. 乳歯が抜けたのに永久歯が見えてきません。どれくらい様子を見てもよいですか?
A. 少しの差なら個人差のこともありますが、かなり長く変化がない、左右差が大きい、歯ぐきのふくらみもない場合は確認した方が安心です。
Q3. 乳歯がずっと残っています。無理に抜いた方がいいですか?
A. 自己判断で無理に揺らしたり抜いたりするのは避けた方が安全です。永久歯の位置や向きを確認してから判断することが大切です。
Q4. 前歯が片方だけ遅いのは問題ですか?
A. 必ずしも異常とは限りませんが、左右差が大きい場合は余分な歯や位置のずれなどが隠れていることがあります。
Q5. 小さいころに前歯をぶつけたことがあります。関係ありますか?
A. 関係することがあります。乳歯の外傷が、後から生える永久歯の位置や形、生える時期に影響することがあります。
Q6. レントゲンは必要ですか?
A. 目で見ただけでは分からないことが多いため、必要に応じて使います。永久歯があるか、向きはどうか、じゃましているものがないかを確認できます。
Q7. 遅いだけなら、そのままでも大丈夫ですか?
A. 原因によります。経過観察でよいこともありますが、待ちすぎない方がよいケースもあるため、気になる場合は一度相談するのが安心です。
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