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2026年08月24日
コラム

要介護者の口腔ケア|守口の歯医者

家族に介護が必要になると、食事、着替え、入浴、薬の管理など、毎日たくさんのことを行わなければなりません。その中で、つい後回しになりやすいのが「口腔ケア」です。

しかし、要介護者にとって口腔ケアは、単に歯をきれいにするためだけのものではありません。むし歯や歯ぐきの病気、口臭を防ぐだけでなく、食べる、飲み込む、話すといった生活に欠かせない働きを支える役割があります。

高齢になると、手や腕をうまく動かせない、口を開けにくい、うがいができない、入れ歯を自分で外せないなど、さまざまな問題が出てきます。また、認知症などによって痛みや違和感を本人がうまく伝えられないこともあります。

この記事では、守口市で要介護のご家族を支えている方に向けて、家族ができる口腔ケアの方法、入れ歯のお手入れ、むせへの注意、歯科医院を受診した方がよい症状について分かりやすく解説します。

参考:日本歯科医師会「要介護者への口腔ケア」

1.要介護者に口腔ケアが必要な理由

要介護状態になると、自分で歯ブラシを持てても、口の中を十分にきれいにできていないことがあります。特に歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の裏側などは磨き残しが増えやすい場所です。

また、高齢者では口が乾燥しやすくなります。水分摂取量の低下や薬の影響、口呼吸などが重なることで唾液が少なくなり、汚れが口の中に残りやすくなることもあります。

・自分で細かく歯ブラシを動かせない

・磨き残しに本人が気づきにくい

・口が乾燥しやすい

・入れ歯の清掃が十分にできない

・口の痛みをうまく伝えられない

本人が自分で歯磨きをしていても、できれば家族が最後に口の中を確認することが大切です。

2.口腔ケアと誤嚥性肺炎の関係

高齢者で特に注意したい病気の一つが誤嚥性肺炎です。

食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管に入ることを「誤嚥」といいます。年齢とともに飲み込む力や咳をする力が弱くなると、口の中の細菌が唾液と一緒に肺へ入り込むことがあります。

過去の研究では、介護施設などで専門的な口腔ケアを行うことで肺炎や発熱が減少した報告があります。一方、最近の研究では、口腔ケアだけで誤嚥性肺炎を完全に予防できるとは言い切れないことも分かっています。

そのため、

・口の中を清潔にする

・食事の姿勢を整える

・飲み込む力を確認する

・栄養状態を保つ

・むせなどの変化を早めに見つける

といった対策を組み合わせることが重要です。

3.歯がなくても口腔ケアは必要

「もう歯がないから歯磨きは必要ない」と思われることがありますが、歯が一本もなくても口腔ケアは必要です。

舌、歯ぐき、頬の内側、上あご、入れ歯の表面などにも汚れや細菌は付着します。特に口が乾燥している人では、粘り気のある汚れが舌や上あごなどに付きやすくなります。

毎日のケアでは、

・舌に白い汚れが付いていないか

・頬の内側に食べかすが残っていないか

・歯ぐきに傷がないか

・入れ歯が当たって赤くなっていないか

・口が強く乾燥していないか

なども確認してください。

口腔ケアでは「歯を磨くこと」だけではなく、「口の中全体を清潔にすること」が重要です。

4.家族が行う口腔ケアの基本

家族が介助する場合は、いきなり歯ブラシを口に入れないことが大切です。

特に認知症がある方は、突然口元を触られることで驚いたり、怖さを感じたりすることがあります。

まず、「今から歯を磨きますね」「右側からきれいにしますね」など、短く分かりやすい言葉をかけます。

本人ができる部分はできるだけ本人に磨いてもらい、家族が最後に仕上げをする方法がおすすめです。

歯ブラシは強く握らず、軽く持って細かく動かします。

特に、

・歯と歯ぐきの境目

・奥歯

・歯の裏側

・歯と歯の間

は汚れが残りやすいため丁寧に確認します。

強い力でゴシゴシ磨く必要はありません。痛みがある場所を強く磨くと、口腔ケアそのものを嫌がる原因になることもあります。

5.口腔ケアでは姿勢も重要

要介護者の口腔ケアでは、歯磨き方法だけでなく「姿勢」にも注意する必要があります。

ベッドに寝たまま、顔を上向きにした状態で多くの水を使うと、水や汚れがのどへ流れ込みやすくなります。

可能であれば、

・椅子や車いすに座る

・ベッドの場合は上半身を起こす

・顔をやや下または横に向ける

・大量の水を使わない

といった工夫をしましょう。

特に普段からむせが多い方や、うがいが難しい方では注意が必要です。

歯磨き中に咳き込む、呼吸が苦しそうになる、強くむせる場合は一度中止します。

飲み込みに問題がある場合は、歯科医師だけでなく、主治医、看護師、介護スタッフなどにも相談してください。

6.歯磨き剤や舌のお手入れについて

むし歯予防にはフッ素入りの歯磨き剤が一般的ですが、要介護者では使い方を工夫する必要があります。

うがいができない人や飲み込む力が低下している人では、歯磨き剤を大量に使うと泡が口の中にたまりやすくなります。

そのため、少量から使用し、本人の状態に合わせることが大切です。

また、舌に白っぽい汚れが付いている場合があります。

舌の汚れは、専用の舌ブラシなどで奥から手前へやさしく動かします。

強く何度もこすると舌を傷つけてしまうため注意してください。

白い部分が何度こすっても取れない、赤くただれている、出血する、痛みがある場合は、単なる汚れではない可能性もあります。無理にこすらず歯科医院へ相談しましょう。

7.入れ歯のお手入れも忘れずに

要介護者では、入れ歯の清掃が十分にできていないケースも少なくありません。

入れ歯にも食べかすや細菌などの汚れが付着するため、毎日取り外して清掃することが大切です。

基本的な流れは、

・入れ歯を外す

・流水で大きな汚れを流す

・入れ歯専用ブラシで磨く

・必要に応じて入れ歯洗浄剤を使用する

・入れ歯を外した口の中も確認する

という方法です。

入れ歯を落とすと割れることがあります。洗面台にタオルを敷いたり、水を張った洗面器の上で洗ったりすると安心です。

また、熱湯は入れ歯が変形する原因になるため避けてください。

入れ歯洗浄剤に入れるだけでは、目に見える汚れが十分に取れないことがあります。ブラシによる清掃も行いましょう。

8.入れ歯が合わないサインを見逃さない

高齢になると、体重の変化や歯ぐきの形の変化などによって、以前は問題なく使えていた入れ歯が合わなくなることがあります。

本人が痛みをはっきり訴えない場合でも、

・食事中に顔をしかめる

・入れ歯を外したがる

・急に入れ歯を使わなくなった

・食事の量が減った

・柔らかいものばかり食べる

・入れ歯の下が赤くなっている

・口の中に傷がある

といった変化があれば注意が必要です。

合わない入れ歯をそのまま使い続けると、歯ぐきに傷ができたり食事量が減ったりすることがあります。

家族が入れ歯を削ったり、市販の接着剤などで修理したりせず、歯科医院へ相談してください。

9.口の乾燥にも注意する

高齢者では口が乾燥しやすくなります。

口の乾燥には、飲水量、薬、口呼吸、全身状態など多くの原因が関係しています。

口が乾燥すると、

・食べ物を飲み込みにくい

・話しにくい

・舌や頬が痛くなる

・口臭が強くなる

・入れ歯が擦れて痛い

などの問題につながることがあります。

唇がひび割れている、舌が乾いている、口の中がネバネバしているなどの変化にも注意してください。

口腔用の保湿剤が役立つ場合もあります。

ただし、強い乾燥が長く続く場合は、薬や全身の状態などが関係していることもあるため、歯科医院や主治医へ相談しましょう。

10.認知症で歯磨きを嫌がる場合

認知症の方では、歯磨きを拒否することがあります。

本人にとっては、「なぜ口を触られるのか分からない」「痛いところがある」「怖い」などの理由が隠れている可能性があります。

そのため、

・いきなり口元を触らない

・目線を合わせて説明する

・本人に歯ブラシを持ってもらう

・鏡を見ながら行う

・時間帯を変える

・痛い場所がないか確認する

といった方法を試します。

一度強く嫌がった場合は、無理に続けるより、少し時間を空けて再度行う方がよいこともあります。

毎回完璧に行うことよりも、本人が受け入れられる方法を見つけ、継続することが大切です。

11.むせや食べ方の変化は重要なサイン

口腔ケアを行う家族だからこそ気づける変化があります。

特に、

・食事中にむせる回数が増えた

・飲み物でよく咳き込む

・食後に声がガラガラ、ゴロゴロする

・食事に時間がかかるようになった

・以前より食べる量が減った

・体重が減ってきた

といった変化は注意が必要です。

「年齢のせい」と思って見過ごされることもありますが、飲み込む力や口の機能が低下している可能性があります。

歯科医院では歯や入れ歯だけでなく、食べにくさや口の状態について相談できます。

必要に応じて主治医、介護スタッフ、看護師などと連携しながら対応することが大切です。

日本歯科医師会「要介護者への口腔ケア」

12.歯科医院を受診した方がよい症状

要介護者では、本人が痛みをうまく伝えられないことがあります。

そのため、家族が口の中や食事の様子を観察することがとても重要です。

次のような症状があれば、早めに歯科医院へ相談してください。

・歯や歯ぐきが痛そう

・歯ぐきや顔が腫れている

・歯ぐきから膿が出ている

・歯が大きく動いている

・入れ歯で傷ができている

・歯が折れた

・詰め物やかぶせ物が外れた

・口の中の傷がなかなか治らない

・急に口臭が強くなった

・食事量が減った

・むせる回数が増えた

顔が急に大きく腫れた、呼吸が苦しい、意識がおかしいなど、全身に異常がある場合は、歯科だけでなく速やかな医療機関への相談が必要です。

13.家族だけで抱えず、歯科・介護と連携する

要介護者の口腔ケアを家族だけで完璧に行う必要はありません。

現在の介護では、口の健康を歯科だけの問題として考えるのではなく、介護職、看護師、主治医、ケアマネジャー、歯科医師、歯科衛生士などが連携することが重視されています。

2024年度の介護報酬改定でも、介護施設や介護事業所から歯科医療機関へつなぎ、口の健康状態を確認する取り組みが強化されています。

例えば、「最近入れ歯を使わなくなった」「食事量が減った」「むせることが増えた」「口臭が急に強くなった」といった情報は、歯科だけでなく介護スタッフにとっても重要です。

介護記録や連絡ノートなどに簡単に残しておくと、変化を共有しやすくなります。

厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

14.菱田歯科医院ではどのような治療を行うのか

菱田歯科医院では、まず要介護者の現在の歯、歯ぐき、入れ歯、口の乾燥、汚れの状態などを確認します。

そのうえで、患者さまの体調や介護状況を考慮しながら必要な治療を検討します。

むし歯がある場合は状態に応じた治療を行い、歯ぐきの腫れや歯石がある場合には口の中の清掃を行います。

入れ歯については、

・痛みがないか

・動きすぎていないか

・食事がしにくくないか

・口の中に傷を作っていないか

などを確認します。

また、歯科医院で治療するだけでなく、ご家族が自宅で続けやすい歯磨き方法や、本人に合った歯ブラシの選び方についても相談できます。

身体的な理由などにより通院が難しい場合には、訪問歯科という方法もあります。訪問診療の対象になるか、対応できる地域や治療内容などについては、事前に歯科医院へお問い合わせください。

まとめ|毎日の口腔ケアで食べる生活を支える

要介護者の口腔ケアは、歯をきれいにすることだけが目的ではありません。

口の中を清潔に保ち、痛みや入れ歯の不具合を早く見つけることで、食事を続けやすくし、生活の質を支えることにつながります。

家族が意識したいポイントは、

・本人ができる部分は本人に任せる

・家族が磨き残しを補う

・口腔ケア前に姿勢を整える

・入れ歯は毎日清掃する

・口の乾燥や傷を確認する

・むせや食事量の変化を確認する

・無理に口を開けない

・困ったときは歯科や介護スタッフへ相談する

という点です。

毎日の介護の中で、すべてを完璧に行う必要はありません。

「今日は歯ぐきが赤くないか」「最近入れ歯を嫌がっていないか」など、小さな変化を見る習慣をつけることが大切です。

守口市、守口駅、守口市駅周辺で要介護者の口腔ケアや入れ歯、歯の治療についてお悩みの場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。

FAQ|要介護者の口腔ケアについてよくある質問

Q1.要介護者の歯磨きは1日何回すればよいですか?

可能であれば食後に行うことが望ましいですが、介護状況によって毎食後に十分な歯磨きをすることが難しい場合もあります。まずは1日の中で一度、家族がしっかり口の中を確認しながら丁寧に磨く時間を作りましょう。本人ができる歯磨きと家族による仕上げを組み合わせる方法もおすすめです。

Q2.歯磨きを嫌がるときは無理に行った方がよいですか?

無理に口を開けて行うことはおすすめできません。痛み、恐怖、認知症による理解の難しさなどが原因になっていることがあります。時間を変える、本人に歯ブラシを持ってもらう、声をかけてから行うなどの方法を試しましょう。

Q3.歯が一本もなくても歯科医院へ行く必要がありますか?

歯がなくても歯科医院での確認は大切です。入れ歯の状態、歯ぐき、舌、口の乾燥、口の中の傷などを診察できます。特に入れ歯を使用している方は、知らないうちに歯ぐきへ傷を作っていることがあります。

Q4.入れ歯洗浄剤だけでお手入れできますか?

入れ歯洗浄剤だけでは、食べかすなどの汚れが十分に落ちない場合があります。流水で流しながら入れ歯専用ブラシなどで汚れを落とし、必要に応じて洗浄剤を併用しましょう。

Q5.食事中によくむせる場合は歯科に相談できますか?

相談できます。むせは飲み込む力が低下しているサインの一つである可能性があります。むせる回数が増えた、食事量が減った、食後に声が変わるなどの変化がある場合は、歯科医院だけでなく主治医や介護スタッフにも相談してください。

Q6.口腔ケアをすれば誤嚥性肺炎を完全に防げますか?

完全に防げるわけではありません。誤嚥性肺炎には飲み込む力、栄養状態、全身状態、食事姿勢など複数の要因が関係します。ただし、口の中を清潔に保つことは大切な対策の一つです。

Q7.通院できない場合はどうすればよいですか?

身体の状態などによって歯科医院への通院が難しい方には、訪問歯科を利用できる場合があります。対象条件や訪問可能地域、治療内容は歯科医院によって異なるため、事前に相談してください。

 

このコラムに関わる歯科医師

歯科医師 菱田 茂規

患者さまのお話を丁寧に伺い、お口の状態やご希望に合わせて、できるだけ分かりやすくご説明することを大切にしています。虫歯・歯周病の治療だけでなく、治療後のお口の健康を長く保つための予防についても一緒に考えてまいります。気になる症状やお口のお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

<経歴・所属>

・朝日大学 卒業

・大阪大学 第一口腔外科卒業

・日本口腔外科学会

・守口市歯科医師会

・学校歯科医

詳しい経歴はこちら

守口市の歯医者

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