blog コラム
最近、硬い物を避けるようになった、食事に時間がかかる、お茶やみそ汁でむせる、口が乾く、滑舌が悪くなったと感じていませんか。こうした変化は一つひとつが小さくても、複数重なると「口腔機能低下症」という状態に当てはまることがあります。
口腔機能低下症は、歯だけの問題ではありません。かむ、飲み込む、話す、唾液を出す、舌を動かすなど、口全体の働きが少しずつ弱っている状態です。
早めに気づき、原因に合った対策を始めることが、食事の楽しみや健康を守ることにつながります。
口腔機能低下症とは、口の中を清潔に保つ力、口の潤い、かむ力、舌や唇を動かす力、舌の押す力、食べ物を細かくする力、飲み込む力などが、いくつも弱っている状態です。
歯科医院では7つの項目を調べ、そのうち3項目以上が決められた基準を下回った場合に診断します。
本人の感覚だけで決めるのではなく、専用の器具や質問票を使って確認します。歯が何本残っているかだけではなく、残っている歯や入れ歯を実際にどの程度使えているかが大切です。
口腔機能低下症の詳しい考え方については、**日本老年歯科医学会「口腔機能低下症について」**もご参照ください。
「オーラルフレイル」は、口のささいな衰えに気づくための考え方です。硬い物を避ける、むせる、滑舌が悪くなるといった変化が始まった段階を広く表します。
一方、口腔機能低下症は、歯科医院で決められた検査を受け、基準に基づいて診断される病気です。
・オーラルフレイルは口の衰えに早く気づくための考え方
・口腔機能低下症は歯科検査で判断する病気
・どちらも早めの発見と継続的な対応が重要
言葉は違っても、口の小さな変化を放置しないことが大切です。
口の働きが低下する原因は一つではありません。歯や入れ歯の問題だけでなく、食事、薬、全身状態、生活習慣などが重なることもあります。
・虫歯や歯周病で歯が痛い
・歯を失い、かめる場所が少ない
・入れ歯が合わず、食事中に動く
・片側の歯だけでかむ癖がある
・会話や外出が減り、口を動かす機会が少ない
・薬の影響や水分不足で口が乾いている
・食事量が減り、全身の筋肉が落ちている
・脳卒中や神経の病気などがある
複数の原因が重なることも多いため、体操だけで解決しようとしないことが大切です。歯や入れ歯の治療、栄養状態、服用している薬、全身の病気まで確認する必要があります。
年齢とともに口の働きは変化しやすくなります。しかし、「高齢だから仕方がない」と決めつける必要はありません。
痛い歯、合わない入れ歯、口の乾燥、食事量の減少など、改善できる原因が隠れていることがあります。糖尿病、脳の病気、神経や筋肉の病気などが関係する場合もあります。
大切なのは、いつから、どのような変化が起きたのかを整理することです。急にろれつが回らなくなった、急に飲み込みにくくなった場合は、口の衰えではなく別の病気の可能性があります。
次のような変化は、口の働きが弱り始めているサインかもしれません。
・硬い肉、せんべい、たくあんなどを避ける
・食事中に食べ物をこぼす
・口の中に食べ物が残る
・以前より食事時間が長くなった
・お茶やみそ汁でむせる
・錠剤が飲みにくい
・口が乾いて話しにくい
・「さ行」や「た行」が言いにくい
・食欲が落ち、体重が減ってきた
一つだけで診断はできません。複数の変化が続く場合や、以前より悪化している場合は、歯科医院で相談しましょう。
ご自身の口の変化を確認したい方は、**8020推進財団「オーラルフレイルのセルフチェック」**もご活用ください。ただし、セルフチェックだけで口腔機能低下症を診断することはできません。
舌の表面にどの程度汚れが付いているかなどを確認します。口の清掃が不十分になると、細菌が増え、口臭、虫歯、歯周病の悪化につながります。
手の動きが悪くなったり、視力が低下したりすると、本人は磨いているつもりでも奥歯や舌に汚れが残ることがあります。
・歯だけでなく、舌や入れ歯も確認する
・舌は強くこすらず、やさしく清掃する
・歯間ブラシやデンタルフロスを使う
・磨きにくい場所は歯科医院で方法を教わる
口を清潔に保つことも、食べる力を守るための大切な管理です。
専用の機器や唾液の出方を使って、口の潤いを調べます。唾液には、食べ物をまとめる、飲み込みやすくする、口の中を洗い流す、歯を守るなど多くの役割があります。
口が乾くと、パンやクッキーが食べにくい、舌が痛い、入れ歯がこすれる、会話が続けにくいといった問題が起こります。
薬の副作用、口呼吸、水分不足、全身の病気が関係していることもあります。水を飲むだけでは解決しない場合もあるため、乾燥が続くときは原因を確認することが大切です。
歯をかみしめたときの力を専用のシートや機器で測ります。歯が残っていても、痛み、ぐらつき、かみ合わせのずれがあると十分な力を出せません。
逆に、歯を失っていても、入れ歯が安定していればかむ力を補える場合があります。
・虫歯や歯周病がないか
・歯がぐらついていないか
・かみ合わせが左右でずれていないか
・入れ歯が動いたり痛んだりしないか
・片側だけでかんでいないか
これらを一緒に確認し、必要に応じて治療や入れ歯の調整を行います。
「パ」「タ」「カ」などの音を一定時間に何回言えるかを調べ、唇や舌の動きを確認します。
・「パ」は唇をしっかり閉じる動き
・「タ」は舌先を上あごにつける動き
・「カ」は舌の奥を持ち上げる動き
これらは話すためだけの動きではありません。食べ物を口からこぼさない、食べ物を口の奥へ送る、飲み込みの準備をするといった働きにも関係します。
速さだけを競う検査ではありません。決められた方法で発音し、口の動きを数値として確認します。
小さな風船のような部分を舌で上あごへ押しつけ、舌の力を測ります。舌は、食べ物を歯の上へ運び、唾液と混ぜ、飲み込みやすい形にまとめ、のどへ送る役割を担っています。
舌の力が弱ると、口の中に食べ物が残る、錠剤が舌の上に残る、飲み込みに時間がかかるといった変化が起こります。
検査結果に応じて舌を動かす練習を行います。回数や強さは一人ひとりに合わせ、痛みがある場合は無理に訓練しないことが大切です。
決められた検査用の食品などをかみ、どの程度細かくできたかを調べます。かむ力があっても、歯の形、かみ合わせ、舌の動き、唾液量が十分でなければ、食べ物をうまく処理できません。
この検査では、実際の食事に近い口の働きを確認できます。結果が低い場合は、歯の治療、入れ歯の調整、食事の硬さの見直しなどを行います。
硬い物を無理に食べて鍛えようとするのは危険です。歯が欠ける、入れ歯が壊れる、食べ物を詰まらせるといった問題につながることがあります。
質問票や簡単な確認を使って、食べ物や水分を安全に飲み込めているかを調べます。むせがないから安全とは限りません。
本人が気づかないまま、食べ物や唾液が気管へ入りかけることもあります。
・食事中や食後にせき込む
・食後に声がかすれる
・食後に声が湿った感じになる
・食べ物がのどにつかえる
・発熱を繰り返す
・食事量や体重が減る
このような症状があれば、より詳しい検査や医科との連携が必要になる場合があります。
かみにくさを感じると、豆腐、麺類、パンなど、柔らかく食べやすい物に偏りやすくなります。柔らかい食品が悪いわけではありません。
しかし、肉、魚、野菜などを避け続けると、たんぱく質、食物繊維、ビタミンなどが不足することがあります。食事量が減って体重や筋肉が落ちると、舌や飲み込みに関わる筋肉もさらに弱ります。
その結果、より食べにくくなる悪循環が起こります。食べる量や選ぶ食品が変わったときは、口だけでなく栄養状態も確認することが大切です。
口の機能低下は、身体の筋力低下、低栄養、外出の減少、生活の質の低下などと関係しています。ただし、口腔機能低下症になれば必ず全身が弱るという意味ではありません。
口と全身は互いに影響し合うため、両方を一緒に見る必要があります。
・口の状態を整えて食べやすくする
・必要な栄養を確保する
・無理のない運動を続ける
・会話や外出の機会を保つ
・体重や体力の変化を確認する
口だけを鍛えるのではなく、生活全体を整えることが重要です。
滑舌の悪化、口臭、入れ歯のずれなどがあると、人前で話すことを避ける方がいます。会食や外出が減ると、口を動かす機会も少なくなります。
その結果、食欲や活動量が低下し、気持ちが落ち込むこともあります。口の問題は、単に食事だけの問題ではありません。
話すこと、笑うこと、人と会うことにも関係します。以前より人と話さなくなった、外食を嫌がるようになったという変化も、歯科相談のきっかけになります。
原因に合った対応を行うことで、口の働きを維持したり、改善したりできる場合があります。ただし、短期間の体操だけですべてが元どおりになるわけではありません。
・虫歯や歯周病を治療する
・合わない入れ歯を調整する
・口の乾燥の原因を確認する
・歯や舌の清掃方法を見直す
・弱っている舌や唇を練習する
・食事の内容と硬さを整える
・一定期間後に再検査する
大切なのは、弱っている部分を確認し、その部分に合った対策を続けることです。
歯科医院では、7項目のうち、どの機能が弱っているかを確認します。その結果をもとに、一人ひとりに合った管理方法を考えます。
歯や入れ歯の治療だけでなく、口の清掃、乾燥への対応、舌や唇の練習、食事についての助言などを組み合わせます。
必要に応じて、医師、歯科衛生士、管理栄養士、言語聴覚士などと連携することもあります。一定期間後に再検査し、改善した部分と残っている課題を確認します。
日常生活では、次の習慣を意識しましょう。
・毎食後と就寝前に口を清潔にする
・入れ歯は毎日外して洗う
・痛みのない範囲で左右の歯を使う
・会話や音読で口を動かす
・水分制限がなければ、こまめに水分を取る
・肉、魚、卵、大豆製品を取り入れる
・食事を急がず、よくかむ
・定期的に歯科検診を受ける
体操は予防の一つです。痛い歯や合わない入れ歯がある場合は、先に原因を治療しましょう。
口や舌を動かす方法については、**日本歯科医師会「自宅でできる口の体操」**も参考になります。
「かむ力を鍛えたい」と考えて、急に硬い物を食べる必要はありません。歯や入れ歯の状態に合わない硬さは、歯の破折、入れ歯の損傷、窒息につながる可能性があります。
・肉は薄く切る、やわらかく煮る
・野菜は適度に加熱する
・パサつく食品には汁やあんを添える
・一口の量を少なめにする
・急いで飲み込まない
・口の中でまとまってから飲み込む
・食事中は姿勢を整える
むせがある方は、食事の形を自己判断で変えないことが大切です。歯科や医療機関へ相談し、安全な食べ方を確認しましょう。
口が乾くときは、少量ずつ水分を取る、部屋の湿度を整える、よくかんで唾液を出しやすくするなどの方法があります。しかし、水を飲むだけでは改善しないこともあります。
複数の薬を飲んでいる方では、薬の影響が重なっている可能性があります。自己判断で薬を中止せず、歯科医師や処方した医師に相談してください。
保湿剤や唾液が出る場所へのやさしい刺激が役立つこともあります。口の中やあごの下に腫れ、強い痛み、発熱がある場合は、マッサージをせず受診しましょう。
入れ歯は、一度作ればずっと同じ状態で使えるものではありません。歯ぐきやあごの骨は少しずつ変化するため、以前は合っていた入れ歯でも、ずれたり痛んだりすることがあります。
・食事中に入れ歯が動く
・外れやすい
・歯ぐきに傷ができる
・片側でしかかめない
・食後に強く疲れる
・入れ歯を外して食べることが増えた
このような場合は調整が必要です。市販の接着剤だけで長くごまかさず、歯科医院で確認しましょう。
本人は少しずつ進む変化に慣れ、問題に気づかないことがあります。家族は次のような点を見守りましょう。
・食べる速度が急に遅くなった
・食卓でせき込む回数が増えた
・同じ食品ばかり選ぶ
・食べこぼしが目立つ
・声が小さくなった
・入れ歯を外したまま食べる
・体重が減って服が緩くなった
・外食や会話を避けるようになった
責めたり急かしたりしないことが大切です。「最近食べにくい物はある?」とやさしく聞き、歯科受診につなげましょう。
次の症状は、通常の口の衰えだけでは説明できない可能性があります。
・突然ろれつが回らなくなった
・顔や舌の片側が動かしにくい
・急に飲み込めなくなった
・呼吸が苦しい
・食べ物を詰まらせ、声やせきが出ない
・高熱や息苦しさを伴う
・短期間で大きく体重が減った
突然の言葉の出にくさや片側のまひは、脳卒中の可能性があります。窒息や呼吸困難も緊急性が高いため、迷わず救急要請をしてください。
口腔機能低下症は高齢になるほど起こりやすくなります。しかし、年齢だけで受診時期を決める必要はありません。
硬い物を避ける、むせる、口が乾く、話しにくいといった変化があれば、早めに相談してください。特に、歯を多く失っている方、入れ歯を使っている方、薬を複数飲んでいる方は注意が必要です。
体重が減っている方や、脳卒中などの病歴がある方も、定期的な確認が役立ちます。症状がない時点の状態を知っておくと、将来の変化にも気づきやすくなります。
菱田歯科医院は、大阪府守口市日吉町にあります。地下鉄谷町線の守口駅から徒歩3分、京阪本線の守口市駅から徒歩5分です。
守口市で歯医者をお探しの方に対し、虫歯、歯周病、入れ歯の状態を確認しながら、かみにくさ、口の乾燥、むせ、滑舌の変化についても相談を受けています。
口腔機能低下症は、見た目だけでは分からないことがあります。「まだ大きく困っていない」という段階でも、小さな変化が重なる前に歯科医院で確認することが大切です。
定期検診では、虫歯や歯周病だけでなく、歯の減り方、かみ合わせ、入れ歯の安定、舌や粘膜の状態も確認できます。過去の状態と比べることで、小さな変化に気づきやすくなります。
・以前よりかむ力が落ちていないか
・口の乾燥が強くなっていないか
・体重や食事内容が変化していないか
・歯磨きが難しくなっていないか
・むせや話しにくさが増えていないか
症状が強くなってから受診するのではなく、定期的に確認して早めの対応につなげましょう。
口腔機能低下症は、口の清潔さ、乾燥、かむ力、舌や唇の動き、舌の力、食べ物を細かくする力、飲み込む力のうち、複数が弱った状態です。
放置すると、食べられる物が偏り、栄養や体力、会話、外出にも影響することがあります。
一方で、歯や入れ歯の治療、口の清掃、乾燥対策、栄養管理、口の練習を組み合わせることで、維持や改善を目指せます。
「年齢のせい」と決めつけず、気になる変化があれば菱田歯科医院へご相談ください。守口市でいつまでも自分の口で食事を楽しめるよう、早めの検査と継続的な管理を始めましょう。
Q1.口腔機能低下症は高齢者だけの病気ですか?
A.高齢になるほど起こりやすくなりますが、高齢者だけに限られるものではありません。歯の欠損、合わない入れ歯、口の乾燥、全身の病気、薬の影響などにより、比較的若い方でも口の働きが低下することがあります。
Q2.歯が全部残っていれば心配ありませんか?
A.歯が残っていても、歯周病によるぐらつき、かみ合わせの問題、舌の力の低下、口の乾燥などがあると口腔機能低下症になる可能性があります。歯の本数だけでなく、実際にどの程度使えているかが重要です。
Q3.検査は痛いですか?
A.多くは、舌や唇の動き、舌の力、口の乾燥、かむ力などを調べる検査です。強い痛みを伴うものではありません。
Q4.むせがなければ飲み込みは正常ですか?
A.むせがなくても、飲み込みの力が低下していることがあります。食後に声が変わる、食事に時間がかかる、発熱を繰り返す、体重が減るなどの変化も大切なサインです。
Q5.口の体操だけで改善できますか?
A.体操が役立つ場合はありますが、虫歯、歯周病、入れ歯の不具合、乾燥、栄養不足などが原因の場合は、それぞれの治療や対応が必要です。検査結果に合わせて複数の方法を組み合わせます。
Q6.検査は一度受ければ十分ですか?
A.口の状態や全身状態は変化するため、定期的な再検査が大切です。前回の数値と比べることで、改善した部分や新たに弱った部分を把握しやすくなります。
Q7.家族が受診を勧めても、本人が困っていないと言います
A.本人が変化に慣れている場合があります。食事時間、食べこぼし、むせ、体重、避ける食品など、具体的な変化を伝えましょう。
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