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2026年02月16日
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高齢者の誤嚥性肺炎と口腔ケアの重要性

高齢者の肺炎の中でも、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」は特に注意が必要です。これは、食べ物や飲み物が気管(空気の通り道)に入るだけでなく、唾液(だえき)や口の中の汚れが、知らないうちに気管へ入ってしまい、肺で炎症(えんしょう)を起こすタイプの肺炎です。

 

年齢を重ねると、飲み込む力が少しずつ弱くなります。さらに、むせたときに外へ押し出す力(咳の力)も弱くなりがちです。そのため「むせた自覚がないのに、ほんの少し入ってしまう」ことが起こります。特に寝ている間は、咳が出にくく、気づきにくい誤嚥が起こることがあります。だからこそ、日常の小さな変化に早く気づき、予防の習慣を作ることが大切です。

 

この記事でお伝えしたい事

誤嚥性肺炎の予防で大切なのは、次の2つを同時に整えることです。

1)誤嚥しにくい体の状態を保つ(飲み込み・咳の力を落としにくくする)

2)誤嚥してしまっても肺炎になりにくい口の状態を作る(口の細菌を減らす)

 

「誤嚥を完全にゼロにする」のは難しい場合があります。だから現実的には、「口の中をきれいにして、細菌を減らしておく」ことがとても大きな対策になります。

 

誤嚥性肺炎は「飲み込み」だけが原因ではありません

誤嚥性肺炎という名前から、「飲み込みが下手だから起こる」と思われがちです。もちろん飲み込みの弱さは大きな要因ですが、もう一つとても重要なのが「口の中の細菌(ばいきん)の多さ」です。

 

口の中には誰でも細菌がいます。ただし、歯みがきが不足したり、入れ歯の手入れが不十分だったり、口が乾きやすかったりすると、細菌は増えやすくなります。増えた細菌を含む唾液や痰(たん)が気管に入ると、肺で感染が起こりやすくなり、肺炎につながるリスクが上がります。

 

言い換えると、

・誤嚥しやすい体の状態

・細菌が増えやすい口の状態

この2つが重なるほど、誤嚥性肺炎は起こりやすくなります。

 

高齢になると「口の中が汚れやすい」理由

高齢者の口の環境が悪くなりやすいのは、本人の努力不足とは限りません。年齢や生活の変化で、次のようなことが起こりやすくなります。

 

【よくある原因】 

・手先が動かしにくくなり、歯ブラシが当たりにくい

・歯みがきの回数が減る/短くなる

・認知症などでケアを嫌がることがある

・薬の影響で口が乾く(唾液が減る)

・食事量が減って、噛む回数・口を動かす回数が減る

・入れ歯を長時間つけたままで、汚れがたまりやすい

・歯ぐきの腫れや痛みで、磨くのがつらくなる

 

さらに、食べる物が柔らかい物中心になると、歯や舌が動く回数が減り、唾液も出にくくなります。唾液は「口の中を洗い流す天然の洗浄液」なので、減るほど汚れが残りやすくなります。

 

口の中の細菌が「肺」に届くまでの流れ

「口の汚れがなぜ肺炎に?」と疑問に思う方も多いはずです。流れはシンプルです。

 

1)歯や舌、入れ歯に汚れがたまる

2)汚れの中で細菌が増える

3)唾液や痰に細菌が混ざる

4)飲み込みが弱いと、少しずつ気管に入る

5)肺で感染が起こり、肺炎になる

 

つまり、誤嚥が起こりやすい方ほど「口の中の細菌を減らすこと」がとても重要になります。

 

口腔ケアが大切な理由:研究でも示されています

口腔ケア(こうくうケア)とは、歯みがきだけではなく、舌の汚れを取る、入れ歯を清潔にする、口の乾燥を防ぐ、口や舌を動かす習慣を作る、など「口を健康に保つためのケア全体」を指します。

 

複数の研究では、介護施設などで専門職(歯科医師・歯科衛生士など)が関わる口腔ケアを取り入れたグループで、肺炎の発生や肺炎による死亡が少なかったという報告があります。口腔ケアは薬のように“すぐに結果が見えるもの”ではありませんが、毎日の積み重ねでリスクを下げる生活習慣として意味があると考えられています。

 

まずはここを確認:誤嚥や肺炎リスクの「気づき」チェック

次の項目に当てはまるほど、誤嚥性肺炎のリスクが上がりやすいと考えられます。家族の方が気づけるサインも多いので、定期的に振り返ってみてください。

 

【食事・飲み込みの変化】 

・食事中やお茶でむせる

・食後に声がガラガラする

・食事に時間がかかる、飲み込みにくそう

・食べこぼしが増えた、口の中に残っている

・痰が増えた、咳払いが増えた

 

【口の中の変化】 

・口が乾く、ネバつく

・口臭が強くなった

・舌が白っぽい/汚れが目立つ

・入れ歯が汚れている、合っていない

 

【全身の変化】 

・微熱やだるさを繰り返す

・体重が落ちた、食欲が落ちた

・最近、活動量が減った

 

「年のせい」で片づけず、早めに対策すると悪循環に入りにくくなります。

 

今日からできる「家庭での口腔ケア」:基本は4本柱

ここからは、一般のご家庭でも取り入れやすい方法を、できるだけわかりやすく整理します。ポイントは次の4つです。

 

【口腔ケアの4本柱】 

A. 歯(または歯ぐき)を清潔にする

B. 舌の汚れを減らす

C. 入れ歯を清潔に保つ

D. 口の乾燥を防ぎ、口を動かす

 

全部を完璧にやろうとすると続きません。まずは「夜だけ丁寧」「できる日を増やす」から始めましょう。

 

歯がある方:就寝前は「丁寧に」が合言葉

夜は唾液が減るため、細菌が増えやすい時間帯です。だから就寝前のケアが特に大切です。

 

【歯みがきのコツ】 

・小さめの歯ブラシで、力を入れすぎない

・歯と歯ぐきの境目を、軽くなぞるように当てる

・奥歯の内側は汚れが残りやすいので意識する

・1本ずつ場所を変えながら磨く(同じ場所に当てっぱなしにしない)

 

【歯と歯の間のケア】 

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れが残りやすいです。歯間ブラシやフロスを使うと、汚れの取り残しを減らせます。毎日が難しい場合は、週に数回からでも効果が期待できます。

 

手が動かしにくい方は、電動歯ブラシを使うのも一つの方法です。ただし「当てるだけ」になりやすいので、当てる場所を少しずつ変える意識が重要です。

 

舌のケア:やさしく、少ない回数でOK

舌の表面に白っぽい汚れがつくことがあります。これは細菌が増えやすい場所になることがあります。

 

【舌ケアのポイント】 

・専用の舌ブラシ(または柔らかいブラシ)を使う

・奥から手前へ、やさしく数回だけ

・痛みが出るほど強くこすらない

・朝に行うと、すっきりしやすい

 

「やり過ぎない」ことが、続けるコツです。

 

入れ歯の方:入れ歯の清掃+口の中の清掃がセット

入れ歯は細菌やカビが付着しやすいものです。入れ歯だけを洗って終わり、または口の中だけ磨いて終わり、では不十分なことがあります。

 

【入れ歯の基本】 

・食後に外して流水で洗う

・入れ歯用ブラシで汚れを落とす

・入れ歯用洗浄剤を使う(歯みがき粉は基本的に避ける)

・就寝時は外して洗浄するのが理想

 

【口の中(歯ぐき・上あご・頬)の清掃】 

・湿らせたガーゼでやさしく拭く

・柔らかいブラシで軽くなぞる

・痛いところがあれば無理をしない

 

入れ歯を「入れっぱなし」にすると、汚れが増えやすく、口内炎の原因になることもあります。外すのが不安な方は、外す時間・方法を歯科で相談すると安心です。

 

口の乾燥対策:乾くと汚れが増えやすくなります

口が乾くと、唾液の“洗い流す力”が弱くなり、細菌が増えやすくなります。乾燥は口臭、食べにくさ、話しにくさにもつながります。

 

【乾燥対策の例】 

・こまめな水分補給(少量ずつ)

・部屋の乾燥対策(加湿など)

・口腔用の保湿ジェル・スプレーの活用

・薬で乾く場合は主治医に相談する

 

特に夜間は乾きやすいので、就寝前の保湿や水分補給を意識すると楽になる方もいます。

 

「口を動かす」ことも肺炎予防の一部です

口腔ケアは“掃除”だけではありません。口や舌を動かす回数が減ると、唾液が出にくくなり、飲み込みも弱くなりがちです。これを放っておくと、「食べにくい→食べる量が減る→筋力が落ちる→さらに飲み込みが弱くなる」という悪循環に入りやすくなります。

 

【簡単な口の体操(食前に30秒でも)】 

・「パ・タ・カ・ラ」をはっきり言う

・舌を左右に動かす

・頬をふくらませる/すぼめる

・口を大きく開けて閉じる

 

大切なのは、完璧にやることではなく「続けること」です。無理のない範囲で毎日少しずつ行いましょう。

 

1日の中でどう続ける?「続く形」にすると成功します

口腔ケアは、気合いよりも仕組みが大切です。以下は一例です。

 

【おすすめの流れ(例)】 

・朝:歯みがき+舌ケア(できれば)

・昼:食後にうがい/入れ歯の軽い洗浄

・夜:歯みがき(丁寧)+入れ歯洗浄+口の保湿

 

全部が難しい日は、

「夜だけは丁寧」「入れ歯だけは毎日洗浄」

など、守るルールを少なくして続けるのがコツです。

 

介護中・入院中は「安全第一」で進めましょう

介護が必要な方や、体力が落ちている方は、自分だけでのケアが難しいことがあります。さらに、むせ込みやすい方に無理をすると、逆に誤嚥の危険が増えることもあります。

 

【介助するときの基本】 

・体を少し起こした姿勢で行う

・水をたくさん使わず、少量ずつ(または拭き取り)

・短時間で区切って、回数を分ける

・痛みがありそうなら無理をしない

 

【嫌がる(口を開けない)ときの工夫】 

・いきなり奥へ入れず、まずは声かけ

・唇や頬など触れやすい場所から始める

・口が乾いていると痛みやすいので、先に保湿する

・「今日はここまで」と切り上げて、次回につなげる

 

介助者だけで抱え込まず、歯科医院や訪問歯科に相談すると、具体的なやり方を一緒に作れます。

 

口腔ケアで得られる「肺炎予防以外」のメリット

口腔ケアは肺炎予防だけでなく、日々の生活の質にもつながります。

 

【よくある変化】 

・口臭が減って会話しやすくなる

・口の中がすっきりして食事が楽しみになる

・痛みや違和感が減り、食べる量が増えやすい

・むせ込みが減り、食事の不安が軽くなる

・入れ歯が合いやすくなり、外出しやすくなる

 

「口が整うと元気が戻る」という方も少なくありません。

 

口腔ケアだけでなく「全身の予防」もセットで考える

肺炎の予防は口腔ケアが“軸”になりますが、周辺の対策も一緒に行うと効果的です。

・十分な栄養と水分

・適度な運動(歩く、体操など)

・睡眠

・持病の管理(糖尿病、心臓の病気など)

・ワクチン(肺炎球菌、インフルエンザなど)

 

歯科だけで完結する話ではないので、主治医や介護スタッフとも連携しながら進めると安心です。

 

受診の目安:こんな変化があれば早めに相談を

誤嚥性肺炎の予防は、早めに動くほど有利です。次のような変化があれば、歯科でのチェックをおすすめします。

 

【受診を考えるサイン】 

・食事中やお茶でむせる回数が増えた

・食後に声がガラガラする/痰が増えた

・口の乾き、ネバつきが強い

・口臭が急に強くなった

・入れ歯が当たって痛い/外れやすい

・歯ぐきが腫れている、出血する

・食事量が減った、体重が落ちた

・歯みがきが難しくなってきた

 

歯科医院では、汚れの除去、歯ぐきの治療、痛みの原因の解消、入れ歯の調整、ケア方法の提案など、生活に合わせたサポートができます。守口市で通いやすい歯科医院を探している方は、守口駅・守口市駅周辺の医院に早めに相談すると安心です。

 

まとめ:口腔ケアは「毎日の小さな予防」です

誤嚥性肺炎は、飲み込みの弱さだけで起こるわけではありません。口の中の細菌が増えた状態で、唾液や痰が気管に入りやすくなると、肺炎のリスクが高まります。

 

だからこそ、

・口の中を清潔にする(歯・舌・入れ歯)

・口の乾燥を防ぐ

・口を動かす習慣をつける

・必要に応じて歯科の専門的ケアを受ける

この積み重ねが、肺炎予防と「食べる力・話す力」を守ることにつながります。家族や周囲の方が支えやすいように、できることから少しずつ整えていきましょう。

 

【FAQ(よくある質問)】

 

Q1. 歯みがきは1日1回でも大丈夫ですか?

A. できれば朝と夜の2回、特に就寝前は丁寧に行うのがおすすめです。夜は唾液が減って細菌が増えやすいからです。難しい日は「夜だけ丁寧」からでも始める価値があります。

 

Q2. うがいが上手にできない高齢者はどうしたらいい?

A. 無理に大量の水でうがいをさせると誤嚥の心配があります。湿らせたガーゼで口の中を拭う、少量ずつ水分を使う、など安全な方法があります。心配が強い場合は歯科に相談してください。

 

Q3. 口臭が強い=肺炎の危険が高いですか?

A. 口臭だけで肺炎が決まるわけではありませんが、汚れや乾燥、入れ歯の清掃不足などのサインのことがあります。「口臭が急に強くなった」「ネバつく」など変化があれば、ケア方法を見直す目安になります。

 

Q4. 入れ歯は寝る時もつけたままの方が安全?

A. 基本は外して洗浄し、粘膜を休ませるのが理想です。入れっぱなしは汚れが増えやすく、口内炎や感染リスクにつながる可能性があります。外すと不安な方は、外す時間・方法を歯科で相談しましょう。

 

Q5. マウスウォッシュ(洗口液)だけで歯みがき代わりになりますか?

A. 洗口液は補助にはなりますが、歯や入れ歯に付いた汚れ(歯垢・食べかす)を物理的に落とす力は弱いです。基本は「ブラシで汚れを落とす」ことが中心です。

 

Q6. 歯科医院にはどれくらいの頻度で通うのがよい?

A. 口の状態(歯ぐきの状態、入れ歯の状態、セルフケアの難しさ)で変わります。目安としては数か月ごとのチェックが多いですが、むせやすい、痛い、乾く、食べられないなど症状がある場合は早めの受診がおすすめです。

 

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